「馬喰がゆくよ」

 
 待ちこがれた春の訪れ、かげろう立つ雪融け道は、かつて馬糞風(ばふんかぜ)の吹く道でありました。春ともなると、遠く山の向こうの馬産地から、馬喰(ばくろう)たちが馬を引き連れやってきます。体ひとつで馬を商う馬喰は、銭と酒と女にめざとく、荒くれ男のイメ−ジでありました。しかし、良馬を見分ける目利きも、またプロだったのです。残雪をいただく山並にこだまする口笛の音。ここにも男のロマンが薫ります。

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   ああ 馬喰がゆくよ 街は今日も 馬糞風ふく
   いいひより 長ソデ・ラクダに ながぐつに
   腹まきで 煙草をふかしながら 通りをぬけて
   雪どけ道ぐっちゃぐっちゃ 歩いてゆくよ
   オイラは馬喰

   ああ 馬喰がゆくよ 季節は春 かすみが立ち
   いいきぶん 馬をひきながら 日高山脈
   こえてゆこう 遠くにかすむ山なみ
   あおぎみて 男一匹 裸一貫 生きてゆくよ
   オイラは馬喰


  解説
     注)馬喰・・・「バクロー」牛、馬の仲買人のこと。
     注)篠路・・・「シノロ」篠路はもちろんアイヌ語から来た地名である。
            しかし、今となってはその由来もてんでわからないのだ。
     注)馬糞風・・・「バフンカゼ」馬糞風は春先のさわやかな風、だがちょっとクサイ。
            路上の馬糞が乾燥して舞い上がる春風のことをいった。