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著作権の侵害

 例えばあるAという会社がひとつのデータベースを作ったとしましょう。その元原稿である「文章」や「イラスト」や「写真」などは某プロダクションが制作。そしてそのデータベースを動作させるプログラムは某ソフトハウスが制作。データベース用の画面制作は某MACクリエーターが請け負って制作したとします。

 その時、各々の著作権はその原稿、プログラムなどの作成者にあります。しかし、データベースが完成し運用された場合、それは個々のデータなどの著作権とは別個に著作物として保護されます。つまり、データベース自体の著作権はA社に帰属することになるのです。なぜなら、データベースの著作権と言うものは「データの選択や体系的な構成に創作性を認める」ことにより発生しているからです。

 したがって、個々のデータを複製しても、それはデータ自体の著作権の侵害であって、データベースの著作権の侵害とはいえません。さらにプログラムについても同じことがいえます。繰り返しになりますが、データベースについての著作権の定義が「データの選択、体系的構成の2点に創作性がある」という点である限り、データベース全体の複製やある程度のデータの集合体の複製(そのデータベースの素材の選択性や体系の構成に及ぶ程度)などの限定された範囲でしか権利を行使することができないのです。例えばそのデータベースのキーワードの模倣等ではデータベースの著作権の侵害とはいえません。

 さてこのA社の場合、そのデータベースを利用するときに制限があることを注意しなくてはなりません。データベースが別個の著作権だとはいえ、個々のデータにはもちろんそれぞれ著作権があるのですから、その作成者の許諾がなければ利用することはできないのです。



凸版印刷株式会社 北海道事業部

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