記念講演1
    テーマ:「ベンチャーへの旅立ち:砂漠の思想とモンスーンの思想」
    富士ゼロックスネットワーク機器事業部計画グループ担当次長 佐藤博氏


1.    記念講演1
「ベンチャーへの旅立ち:砂漠の思想とモンスーンの思想」
富士ゼロックスネットワーク機器事業部計画グループ担当次長 佐藤博氏

(1)5年間シリコンバレーに住んだ。ここではシリコンバレー、
   マルチメディアフォーラムの経験を話したい。
   アメリカではフランクにやります。今日もインタラクティブにやりたい。

まずは、intercity oroppasおめでとうございます。
新しいビジネスの場になる。

(2)私は91年からアメリカに行った。カルチャーショックが色々あった。
   まず受けたのが、人事関係のトレーニングだった。趣旨はセクハラしないように、
   ということで、名前は聞いていいのだが、年令や家族、ましてはカワイイか、
   なんて聞いてはだめ。スキルの評価はいいのだが、趣味を聞いたら、訴えられる。
   1ミリオン$払うことになる。セクハラも危ない。
   工場でその筋の写真が貼ってあるが、それを見ちゃだめ。
   1.5million取られていまう。
   2.日本に戻って今、逆カルチャーショックを受けてる。

旅行にも行った。アラスカでは北極熊に注意が必要だ。
永久凍土でフロートの上に家を建てる。
飛行場も無い。氷の上に降りる。こんな状態では産業は育たない。
でも、エスキモーにとって、近代文化がハッピーか、疑問。
南も行った、ここも産業はない。

(3)カリフォルニアは砂漠の中にある。札幌はオレゴンと同じくらいの緯度。
   北海道はカリフォルニアと似ている。
   札幌人口180万人サンタクララカウンティ:150万人   大きさも似ている。
   カリフォルニアは砂漠に大きく依存している。

(4)シリコンバレーから見ていた日本
   日本の思想が確立したのは、西暦600年〜700年頃だった。
   (初めて文章で歴史が残る)
   なお、アメリカの思想が確立したのは、西部開発が息詰まった頃だ。

稲作はもっとまえ?西暦600年以前から存在していた。
稲作は1年のプログラムが決まっている。農業についた途端に、束縛される。
集団での配分の産業である。

さらに神道の影響がある。それには3つの枠組みがある。
1     言霊:口に出せばそうなる。ペルー人質事件で「強行突入したら犠牲が出る」
            という報道は事前には無かったと思う。
            企業でも「この事業は損をする」と言うような議論はタブーになっている。
2     穢れ
3     和を持って尊しとなす。

日本では、「○○道」というものがあり、型を学ぶが、しょせん師匠に及ばない。

日本の文化は生産性を求めない、変化が無い特徴がある。
伊勢神宮の式年遷宮(20年/1回)。があるが、これには方法を定めた文書が無い。
でも、しきたり(型に対する縛り付け)は出来上がっている。
いわば日本は運命共同体であり、、タイタニック号の悲劇のようだ。
外乱がないと、変わらない国だ。

(5)アメリカの地図、ロッキーの位置を見てみよう。
   カリフォルニアに住んでいる人は、そこを西部だと思っていない。
   西部開拓の言葉に「フロンティア」と言う言葉がある。
   フロンティアはどんどん移っていく。=>自営農業者になる夢を持ち、
   新たな土地を取得する。そこには、インフラや制度、法律などは無い。
   これがアメリカ文化の基本だ。
   ヨーロッパの文化をそのまま持ってきたのではない。

 開拓に伴って出来た道には三つある。
1 南の道。サンタフェトレイルは1000キロの道で幌馬車で100日かかる。
  道の横に街を作る。100マイル進むのに、どれだけ何がいるか、の計画が基本。

教育の差:アメリカは実学:確実にできることはなにか?子供の時代から教育されている。

2 カリフォルニアトレイル:1841年:ビジネスが目的。山越えなので、厳しい道だが、
   毛皮、木材、鉱物資源(後に金)を目的として作られた。
   これを<<<ヤマシ>>>と呼ぶ。
   1848年コロマで、金が発見された。
   49年からゴールドラッシュ。=>サンフランシスコができた。
   船で乗り付ける。(マゼラン海峡orパナマを陸超え)船賃1000$かかるが、
   船を陸に揚げて、ホテル・病院に使うという計画性もあったという。
   また、目的のためには、手段を選ばない。でも、金探しは儲からなかった。
  (儲かったのは一部の人)
   儲かったのは、リーバイス(仕事着)、水銀を金の精練に使った人だった。

3 オレゴントレイル 最も北の道。


(6)デスバレーの写真(砂漠の見本)をお見せする。
   海抜―86mで岩塩が溜まっている。ポラックス(硼砂)がこれからとれる
   1億円/トン====ガラスの原料で価値がある。

百数十年前、これらをどうやって運んだか?
1     8頭のロバではこぶ。1トン 水をどうしよう、という計画を立てながら進んできた。
2     12頭のロバ   2トン
3     20頭のロバ   4トン

というように、経済性を求めて計画を立て、実施してきた。

(7)1869年:鉄道の建設が始まった。
   東から:ボストンから・・・
   西から:セントラルパシフィック:スタンフォードがビジネスとして建設
   165万$を投資資金として集めた。
   鉄道の周辺の土地を代償にもらう契約で。株式発行制限の緩和もされた

(8)彼らはドライである。
   ボディという街には、かつて1万1千人が住んでいた。
   金を掘り尽くしたら、町、会社を捨てた。>>>ゴーストタウン化もいとわない。
   目的と手段を分ける。

(9)シリコンバレーの話をする。
   カリフォルニアはドライ系のフルーツの産地。にんにく、ブロッコリー、いちご
   シリコンバレーもボストンも重化学工業が無いのが共通している。

(10)シリコンバレの3つのキーワードがある。
    1 カウンターカルチャー 例)スティーブ・ジョブス
    2  テクノロジードリブン(技術主導型)
       自分の手で何かをする、(家まで作る文化)。
       そして、なにに使えるか?を考える
    3 マイクロマーケッティング
       アメリカには定価というものが無く。
       みんなが価格交渉に疲れてくる。
       そこで、生産者と消費者が直結する必要性が出てきた。=>生産者の顔が見える流通。
       例 webで注文し、FEDEX等の宅配業者が届ける。

(11)スタンフォード大学
     実学の場である。ここの教授はスタンフォード大の看板を借りて、
     市中の金を集め、学生を集めて研究し、成果のロイヤリティを大学に払う。
     学生の学費は4年間で2千万円位だが、優秀な学生がたくさん来る。。

(12)シリコンバレー
     北から南に産業が発展した。
     シリコンバレの範囲はサンノゼからサンタクララあたりをいう。
     人口は約160万人、大きな企業は150社ぐらいある。

ここでは、人件費当たりの生産性が高い、一人当たりの売り上げが3000万円に対し、
人件費は600万円ぐらいだ。
アメリカ全体で登記される会社は70万社あり、そのうち、
上場できるのは5、60社ぐらい。またそのうち、ハッピーになる企業は5社位だ。
92年は最悪の年だった。冷戦が終結し、不景気な年だった。
シリコンバレもその波に洗われ、地元のビルミラーらがジョイントベンチャーの研究を始めた。
これがネットワーク産業の高度化につながった!

(中略)

(14)教育
     子供の教育で印象深いことがあった。英語はスキルだから問題無い。
     あるとき、歴史の宿題でアフリカの化石を分析し、類人猿ルーシーの年代を
     分析するというものだった。これが小学校上級での宿題で、
     論理的構成ができることが必要だ。さらに、個性や実践が重んじられる。
     また、レポートを手書きで出すと受け付けられない。
     字がきれいかどうかで評価が分かれることを排除する考えからだという。

(15)カリフォルニアの産業
     コンピュータ・ネットワーク関係が6割を占め、残りはバイオ等がある。
     成長の度合を比較してみると、HP,intelなどハード関係は安定成長している。
     アップルなどコンピュータ、ネットワーク関係はより、急激に成長している。
     ただし、組織は未成熟だ。

(16)ベンチャー設立の仕組みを説明したい。
    1 ベンチャーキャピタルがシードマネーを提供する。
       パートナーシップにはジェネラルとリミテッドがあり、
       収益出た場合前者は2割をとり、後者は8割を得る。
       たとえば、15万ドル出資する。これが2人の生活費と研究費になる。
       産出物の半分は作り出した人の物になる。その後、
       ==>ビジネスになるかどうかの評価(GP、LPだけでなく、多くの人が入る)
       ==>ダメ:GP,LPはお金損する。
       ==>△:商品化は難しいが:::ライセンスは残る。
       ==>○:企業化(2〜5億円のファンド)これよりも、
                 大きくても小さくても企業化は難しい。
       ==>アルファモデルの制作からベータモデルの制作と進行する。

(株価の動きで見ると、ファウンダーは0.01〜0.1セントだったのが、
 エンジェルが投資すると、1セントになり、上場すると、1〜20ドルにもなる。)

(15)intercity orpppasについて
    ベンチャーを生むベースはできた。ベンチャーの最大の目的は自由である。
    ベンチャーを育成するここの場は自由にした方がよい。
    シリコンバレーも選択の自由があった。

(17)ベンチャー立ち上げについても資料あります。どうぞ、お問い合わせを。


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NCF 速記班担当:福居でした。つかれた〜。
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