16 発寒川の水質調査


1.研究の動機
 子供のころからあった川。そして今も流れている川。私達はそんな川で魚を釣ったりして過ごしました。普段は気にせずあるのが当り前だと思っていた川。しかし今そんな川が私達の手による汚染によって、なくなりつつあるのです。
 今、私達の身近にある川の状態をしることで、自分たちを戒めるとともに、今後さらにこの私達の川をきれいにすることを心に止めておきたかったのです。

2.研究の目的
 今の発寒川に含まれている物質の名前や量を知る。

3.研究の方法
(1)発寒川、または発寒川から採ってきた水を試験薬等を使って発寒川に含まれる7つの項目の測定をする。

(2)測定の場所

  発寒川清水橋周辺。

 

(3)使用したもの
  1. パックテスト(共立理化学研究所)
    アンモニウム、亜硝酸、残留塩素、りん酸イオン、化学的酸素消費量(COD)、水素イオン濃度(pH)
    溶存酸素量測定アンプル(CHEMets 共立理化学研究所)
  2. pH計(twinpHB211 堀場製作所)
  3. ビーカー
  4. 駒込ピペット
  5. 温度計
  6. ペットボトル(採水用)

4.調査する項目について
(1)アンモニウム
 水にアンモニアが存在するということは、有機物が分解したときに生じるので汚れた水の判断に用いられる。雨水で0.1〜0.4mg/l、上流のきれいな水で0.05mg/l以下、汚い川だと0.5〜5mg/lと言われている。

(2)亜硝酸
 有機物の多い汚れた水に多く存在する、有機物としては、生活排水や動物の屎尿、さまざまな生物の死骸の腐敗などが考えられる。(亜硝酸が参加されると硝酸になるので、硝酸が多いほど酸素の多い、一般的にきれいな水と言われる。)

(3)残留塩素
 残留塩素は消毒作用をもつと言われるが、量が多いと「カルキ臭」を発し、病気を誘発する原因になると言われている。0.4mg/l前後がよいと言われている。

(4)リン酸
 水の富栄養化の目安。有リン洗剤(現在は少ない)を含む生活排水や農薬の混入が原因で水中の有機養分が多くなり、植物性プランクトンなどが異常繁殖する。この状態が進むと溶存酸素が不足し、魚や水鳥が死に、水は悪臭を放つようになる。

(5)化学的酸素消費(要求)量(COD)
 水中の有機物を酸化してきれいにするのに必要な酸素の量。量が多いと汚れている。

(6)溶存酸素量(DO)
 水にとけている酸素は、水中に生活する生物(魚や昆虫や微生物)にとって大切である。有機物濃度の高い汚れた水では、有機物が分解されたときに酸素が使われるので、溶存酸素量が少なくなる。通常は8.8mg/lで、低下すると生物が生きられず、2mg/lで悪臭が出る。

(7)水素イオン濃度(pH)
 水素イオン濃度は酸性度を表わす。川の水の酸性度が高いと生物の住めない水と言える。

5.実験の結果


気温・水温は℃ アンモニウム〜溶存酸素はppm


6.実験の考察
 こうして表にしてみてみると、7月の水温の高い日は溶存酸素量は少なく、pH(パックテスト)と残留塩素の数値は高いところを示している。
また、11月の水温の低い日は、それまでの月の0.0に対して、アンモニウムは0.3を記録している。さらに、季節による物質の量の変化はみられなった。測定の平均からみても発寒川はとてもきれいな川だということがわかった。

7.今後の課題
(1)測定場所を上流・中流・下流に分けて、川全体の物質の濃度を測定する。
(2)これからも発寒川の水質調査を続け、これまでの測定結果と比較してみる。

8.感 想
 いままで環境汚染が問題だということは何気なく知っていたけど、実際に調べたことはなかったので、とても参考になりました。調べた結果、発寒川はきれいだったけれど、きっと汚れている川もあると思います。そのことを考えるとここで満足してはいけない気がします。これからも発寒川という狭い範囲ではありますが、測定を続けていきたいです。


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